ウクライナ黒海港の穀物輸出能力が3分の1減―ロシア攻撃激化で月間出荷能力400万トンに低下
ロシア軍の攻撃激化で、ウクライナ黒海港の穀物輸出能力が約3分の1減少。月間出荷能力は600万トンから400万トンへ低下し、物流停滞や運賃上昇が世界穀物市場の新たなリスクとなっている。
飼料
藤井誠司
7/17/20261 min read
ウクライナ黒海港、穀物輸出能力の3分の1を喪失
港湾攻撃激化で世界の穀物供給に新たな懸念
ウクライナの主要農業団体によると、ロシアによるミサイルやドローン攻撃の激化を受け、同国の黒海港を通じた穀物輸出能力が約3分の1失われた。従来、南部オデーサ地域の主要港では月間約600万トンの貨物を取り扱っていたが、現在の穀物出荷能力は平均約400万トンまで低下している。
ウクライナにとって、穀物や植物油などの農産物輸出は重要な外貨獲得源であり、その90%以上がオデーサ地域の3つの港を経由している。港湾機能の低下は農業部門だけでなく、戦時下のウクライナ経済全体にも大きな影響を及ぼす問題となっている。
港湾と物流網への攻撃が輸出を圧迫
ウクライナ農業評議会(UAC)は、ロシア軍による攻撃が港湾施設や穀物ターミナルだけでなく、港につながる輸送・物流網にも及んでいると指摘している。港そのものは完全に停止していないものの、施設の損傷や安全上の問題によって、穀物の集荷から保管、船積みまで物流全体に支障が広がっている。
ウクライナ鉄道のデータでは、7月2~8日にオデーサ港へ向かった穀物輸送用貨車の数は前週比11%減少し、輸出量も17%減った。さらに、ウクライナ最大の穀物輸出企業Kernel Holdingは、一連の攻撃を受けてチョルノモルスク港での操業を停止している。
また、主要13カ所の大型穀物ターミナルのうち4カ所が穀物の買い付けを停止したとされ、港湾の荷役能力だけでなく、産地から港へ穀物を集積する機能にも影響が及んでいる。
保管能力低下と海上運賃上昇も深刻化
港湾施設への被害によって、穀物の保管・集積能力も大幅に低下している。業界では、大水深港における月間約250万トン分の集積能力が失われ、輸出向け穀物の流れにボトルネックが生じているとの指摘もある。
さらに、安全上のリスクからウクライナ港への寄港を避ける船主が増え、海上運賃にも上昇圧力がかかっている。穀物取引業者は、調達、販売、在庫集積、船積み、価格形成、船腹確保など幅広い分野で対応を迫られている。
ウクライナは近年、世界の小麦輸出の約6%、トウモロコシ輸出の約11%を占めてきた。現在の攻撃が続き、港湾設備の修復が追いつかなければ、輸出能力がさらに低下する可能性がある。黒海からの穀物供給停滞が長期化すれば、国際穀物価格や海上運賃を左右する新たな不安定要因となりそうだ。
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