オランダ、アイルランド産子牛輸送に制裁 24時間無給乳を問題視、2030年輸入終了へ圧力
オランダ当局は、長時間ミルクを与えず子牛を輸送したとしてアイルランドの輸送4社に改善命令。動物福祉規制を巡る対立が欧州全体に広がっている。
環境畜産
藤井誠司
9/19/20261 min read
はじめに
欧州では、家畜の長距離輸送に対する動物福祉規制が一段と厳しくなっている。今回、オランダ食品・消費者製品安全庁(NVWA)は、アイルランドから輸送される幼齢子牛が長時間ミルクを与えられていないとして、アイルランドの輸送業者4社に行政処分を科した。
24時間の海上輸送で給乳されず
問題となったのは、アイルランドから欧州大陸へ向かう子牛の輸送である。幼齢子牛はまだミルクへの依存度が高いにもかかわらず、約24時間に及ぶ海上輸送中に給乳されていなかったという。
NVWAは、欧州の動物輸送規則では幼齢子牛に一定間隔で給餌することが求められており、今回の輸送はその要件を満たしていないと判断した。調査のきっかけとなったのは、動物福祉団体「Eyes on Animals」による取り締まり要請だった。
違反繰り返せば最大2万7,000ユーロ
対象となった4社には改善命令が出され、来年までに輸送方法を見直すよう求められた。改善されない場合、違反1回目は3,000ユーロ、2回目は9,000ユーロ、3回目には2万7,000ユーロの制裁金が科される。
一方、アイルランド企業に対するオランダ当局の法的執行権限については議論も残る。アイルランドとフランスでは現在もこうした輸送が認められており、EU規則の解釈を巡って加盟国間に温度差がみられる。
業界も「長時間の無給乳は問題」
オランダの子牛肉業界は、子牛の健康と福祉確保を優先すべきとしてNVWAの対応を概ね支持している。業界の品質保証制度でも、長距離輸送中には24時間当たり少なくとも2回の給乳を求めている。
ただし輸送業界からは、今回のケースがEU規則そのものへの違反なのか、オランダによる厳格な解釈なのかを確認すべきとの意見も出ている。
年間20万頭超を輸出、最大市場はオランダ
アイルランドからは今年、すでに20万頭を超える子牛が輸出されており、最大の輸出先はオランダである。オランダへの輸入だけでも約8万8,000頭に達している。
一方、オランダの子牛肉業界は、動物福祉上の懸念からアイルランド産子牛の輸入を段階的に減らし、2028年の停止を目標、2030年を最終期限としている。
今回の処分は単なる輸送ルールの問題にとどまらず、EU域内における生体家畜の長距離輸送そのものを見直す議論につながる可能性がある。
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