魚粉不足の切り札となるか―単細胞タンパク質、2030年に最大50万トン市場へ

魚粉の供給制約や大豆粕価格の高止まりを背景に、単細胞タンパク質(SCP)が次世代飼料原料として注目されている。2030年には世界生産が最大50万トンへ拡大する可能性がある。

飼料環境

藤井誠司

7/20/20261 min read

a scoop of powder sitting on top of a table
a scoop of powder sitting on top of a table

魚粉不足を補う新たなタンパク源、単細胞タンパク質への期待が高まる

2030年に生産量が大幅拡大へ

魚粉の供給不足への懸念と大豆由来タンパク質の高値が続くなか、微生物を利用して生産する単細胞タンパク質(SCP)が、新たな飼料用タンパク源として存在感を高めている。

飼料技術に関するシンクタンクCentre for Feed Innovation(CFI)の2026年版業界レポートによると、世界のSCP生産量は現在の年間3万~4万トンから、2030年には15万~50万トンへ拡大する可能性がある。発表済みの投資計画などを踏まえると、上限では現在の10倍を超える規模となる。

成長の大きな背景にあるのが魚粉市場の構造変化だ。養殖業の拡大によって高タンパク飼料への需要が増える一方、天然魚資源には限界があり、魚粉供給の持続性が課題となっている。

2030年には魚粉需給が大幅に逼迫する可能性

CFIは、魚粉市場では早ければ2028年から供給不足が顕在化し、2030年には需要が供給を世界生産量の約25%相当上回る可能性があると予測している。

こうしたなか、SCPは天然魚への依存を減らす手段として期待される。レポートでは、SCP1トンの利用が飼料サプライチェーン上で最大6トンの天然魚の漁獲を代替する可能性があるとしている。

また、再生可能エネルギーやバイオガスなどの循環型資源を活用すれば、生産時の炭素排出量を魚粉と同等、場合によってはそれ以下に抑えられる可能性も指摘されている。

コストと規制が商業化の壁

一方、SCPが従来型タンパク原料を大規模に代替するには課題も多い。生産設備への高額な初期投資に加え、エネルギーを含む運転コスト、各国の飼料規制、安定した原料確保などが普及を左右する。

価格競争力をどこまで高められるかが、魚粉や大豆粕からの置き換えを進める重要な条件となる。

ロシアでは年間200万トンの潜在需要も

ロシアでもSCPへの期待が高まっている。ロシア農業銀行は、国内の潜在需要が将来的に年間最大200万トンに達する可能性があると分析している。

特に注目されているのが「Gaprin」と呼ばれる飼料原料だ。天然ガス由来のメタンを利用し、メタン酸化微生物を発酵・培養して高タンパク質のバイオマスを生産する。今後、生産能力は年間約8万トンまで拡大する見通しで、現在ロシアでは4社が生産に取り組んでいるという。

魚粉資源の制約と植物性タンパク質の価格変動が続くなか、SCPは単なる代替原料ではなく、飼料タンパク質供給を多様化する新たな選択肢として市場拡大が期待されている。

出典:https://www.foodagribusiness.world/feed/is-single-cell-protein-the-answer-to-fishmeal-shortages

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