新タンパク時代到来、飼料原料は畑から発酵工場へ
英国の将来食品技術レポートは、飼料タンパクが大豆・魚粉中心から微生物、昆虫、藻類などを組み合わせる「マルチタンパク時代」に移行すると指摘。特にバイオマス発酵とガス発酵が次世代飼料原料の中核になる可能性が高い。
飼料
藤井誠司
4/3/20261 min read
新規タンパク質が変える飼料産業の将来
―英国の新食品技術レポートから見る示唆―
世界的なタンパク質需要の増加に伴い、飼料業界では大豆や魚粉に依存しない新しいタンパク源の開発が急速に進んでいる。英国の食品安全当局による将来技術レポートでは、今後5〜15年で食品・飼料システムを変える可能性のある技術が整理されており、特に飼料分野では新規タンパク質の実用化が人間向け食品よりも早く進む可能性が指摘されている。規制面のハードルが比較的低く、消費者の心理的抵抗も小さいためである。
飼料向け新タンパクの主要分野
報告では、飼料分野で有望とされるタンパク源として以下の技術が挙げられている。
①バイオマス発酵(微生物タンパク)
最も実用化が進んでいる分野で、菌体を大量培養してタンパク源として利用する技術である。
特徴として
高タンパクでアミノ酸バランスが良い
土地・水使用量が少ない
通年生産が可能
密閉発酵で品質が安定
などがあり、ペットフードや養殖飼料、家禽飼料向けに生産設備の拡張が進んでいる。
②ガス発酵(CO₂からタンパク)
CO₂や水素などのガスを微生物に利用させ、単細胞タンパクを生産する技術である。農地に依存しないため国内生産が可能で、循環型社会との相性が良い点が注目されている。特に養殖飼料用途での研究が進んでいる。
③昆虫タンパク
魚粉代替として期待されている分野である。食品用途では規制が厳しいが、飼料用途では比較的規制が整備されており、養殖・ペットフードを中心に市場が拡大している。食品残渣などを利用できる点も特徴である。
④藻類・海藻
オメガ3油脂や機能性成分を含み、養殖飼料ではすでに利用が始まっている。
魚油代替として重要性が高まる可能性がある。
⑤精密発酵・細胞培養
まだ初期段階だが、特定アミノ酸組成のタンパクや機能性タンパクを設計できる可能性がある。将来的にはペットフードなどから実用化が進む可能性がある。
飼料用タンパクは、従来の大豆・魚粉中心の構造から、微生物・昆虫・藻類などを組み合わせる多様な供給構造へ変化していく可能性が高い。これは単なる原料の変化ではなく、飼料産業そのものの構造変化につながる可能性があり、今後の原料調達、配合設計、飼料会社の競争力に大きく影響する分野になると考えられる。
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