英国・アイルランド、在来海藻で牛のメタン削減へ 30%減を目標に農場実証

英国・アイルランドで在来海藻を牛に給与し、メタン排出を30%以上削減する研究が進む。輸入海藻への依存を避け、家畜の健康や牛乳の栄養価向上も期待されている。

飼料

藤井誠司

9/24/20261 min read

gray rock formation near body of water during daytime
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はじめに

牛などの反芻家畜から発生するメタン削減は、畜産業が直面する大きな環境課題である。英国とアイルランドでは、地元で採取できる海藻を飼料に利用し、メタンを削減すると同時に、家畜や人の健康にも役立てようとする研究が本格化している。

目標はメタン30%以上削減

英国では農業が温室効果ガス排出量の約10%を占める。特に北アイルランドではメタンが温室効果ガス全体の約4分の1を占め、その約80%が農業由来とされる。

ベルファスト・クイーンズ大学などの研究チームは、牛の飼料に海藻を添加し、腸内発酵によるメタン排出を少なくとも30%削減することを目標としている。

熱帯産ではなく「地元の海藻」に注目

海藻によるメタン削減では、豪州や米国の研究で熱帯性紅藻を少量給与すると、最大80%程度の削減効果が報告されている。一方、この種にはブロモホルムが多く含まれることや、欧州まで長距離輸送する必要があることが課題となる。

そこで研究者は、アイルランド海や北海で採取できる在来海藻に着目。輸送負荷を抑えながら、実用的なメタン削減効果を持つ種類を探している。

実際の酪農・肉牛農場で試験

研究は実用化を意識した段階に入っている。英国ではスーパーマーケット大手Morrisonsと肉牛農家、北アイルランドのAFBIが参加する3年間のプロジェクトを実施。

さらに、アイルランドの農業研究機関Teagascが主導する200万ユーロ規模の国際研究では、放牧型畜産での利用を検証している。北アイルランドの酪農場では、海藻をグラスサイレージに加え、乳牛への効果を調べている。Teagascでも海藻を利用した反芻家畜のメタン削減研究が継続されている。

家畜の健康や牛乳にもメリットか

在来海藻にはフロロタンニンなどの機能性成分が含まれ、抗菌作用や免疫機能への効果も期待される。研究ではメタンだけでなく、飼料価値、生産成績、乳や肉の品質も評価している。

さらに海藻給与によって牛のヨウ素摂取量が増えることから、牛乳中のヨウ素濃度を高め、妊婦や若年層の栄養改善につなげられる可能性についても研究が進む。

地域資源を活用した新たな低炭素飼料へ

今後の焦点は、実際の農場で安定したメタン削減効果が得られるか、適正な給与量やコスト、安全性を確立できるかにある。

地元の海藻を飼料資源として利用できれば、「メタン削減」「地域資源活用」「家畜の健康」「畜産物の付加価値」を同時に狙える。輸入添加物だけに頼らない、新しい低炭素畜産技術として注目されそうだ。

出典:https://www.foodagribusiness.world/feed/native-seaweed-trials-aim-to-cut-methane-emissions

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