世界の飼料でマイコトキシン常態化、7割検出・3割が生産性リスク域
世界の飼料の7割からマイコトキシン検出、3割が生産性に影響。複合汚染が常態化し、基準値管理から性能ベース管理への転換が急務。
飼料
藤井誠司
3/20/20261 min read
世界の飼料は「慢性的なマイコトキシン圧力」下にある
―Cargill最新データが示す構造リスクと現場対応の転換点―
1.調査概要と全体像
Cargillが公表した2025年のグローバル調査は、41カ国・約39万件の分析データに基づくものであり、飼料分野では最大級の実態把握といえる。その結果、約7割(71%)のサンプルからマイコトキシンが検出され、汚染が例外ではなく常態であることが明確になった。
さらに重要なのは、単なる検出ではなく、約3分の1(34%)が生産性に影響する水準に達している点である。これは従来の法規制基準では見えにくい実務上の損失リスクを示している。
2.主要マイコトキシンの構造変化
今回の分析では、以下の傾向が確認された。
DON(デオキシニバレノール):最も影響が大きく、陽性サンプルの過半で性能低下リスク
FUM(フモニシン):前年よりリスク上昇
ZEN(ゼアラレノン):地域を問わず高水準で継続
AFL(アフラトキシン):アジアで増加傾向
特にDONは、腸管機能・免疫・採食量に影響し、飼料効率低下の主要因となっている。
3.「複合汚染」が新たな標準に
注目すべきは単一毒素ではなく、複数汚染の常態化である。分析対象のうち約47%が3種類以上のマイコトキシンを同時に含有していた。
これは以下の点で重要な意味を持つ:
相乗作用による影響増幅
個別基準ではリスク過小評価
飼料設計の前提が変化
すなわち低濃度でも安心という従来認識は成立しにくい。
4.地域差と気候リスク
地域別には明確な偏りが見られる。
北米・中国:DONリスクが高止まり
南北アメリカ・アジア:FUMが増加
欧州・中東・アフリカ:ZENが広範囲で高水準
アジア:AFLの上昇
これらは気温・降水量・収穫後管理に強く依存しており、気候変動によりリスクの地理的再編が進行している。
5.畜種別影響
生産性影響ベースで見ると、
子牛・育成牛:約17%がリスク域
ブロイラー:約27%
離乳子豚:約26%
特に成長初期・高増体期ほど影響が顕著であり、若齢かつ高栄養要求の組み合わせが最も脆弱といえる。
6.結論:マイコトキシンは「例外」から「前提」へ
今回のデータが示す本質は、マイコトキシンが突発的リスクではなく、構造的・常在的リスクへ変化したことである。したがって対策も発生時対応から常時管理へと転換する必要がある。
出典
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