高粗飼料設計に「糖」で差 糖蜜5%が採食安定と乳成分改善の鍵
高粗飼料型TMRでは選び食いが生産性を低下させる。糖蜜は飼料の結着性を高め、採食の均一化と繊維消化を改善。糖は乾物中約5%が目安で、管理と併用することで乳脂率・生産効率の安定に寄与する。
飼料
藤井誠司
5/1/20261 min read
概要:高粗飼料設計の強みと落とし穴
自給粗飼料を軸にした乳牛飼養は、飼料コスト抑制と持続性の面で有効である。一方で、繊維主体の配合は消化性の低下や長繊維による選び食いを招きやすく、設計値と実際摂取の乖離が課題となる。これにより乳量・乳成分の変動や収益低下が発生する。
選び食いのインパクト
飼料は「設計・給与・実際摂取」の3段階でズレが生じる。特に長い粗飼料は分離しやすく、牛が濃厚部を優先的に摂取することで残飼は繊維偏重となる。研究では、長繊維の残飼が10%増えると乳脂率は0.15ポイント低下、乳タンパクも0.05ポイント低下、さらに2%の増加で補正乳量が約0.9kg/日減少とされ、影響は無視できない。
糖蜜の役割:採食の均一化
糖蜜は液体飼料として粒子を結着させ、飼料の分離を抑制する。水の添加でも一定効果はあるが、乾物60%未満では発熱・腐敗リスクが高まる。一方糖蜜は広い条件で利用可能で、乾物摂取量(DMI)の向上や採食行動の安定化が報告されている。結果として、配合どおりの栄養摂取に近づき、乳成分の安定につながる。
繊維消化を引き出す「糖の機能」
糖とデンプンは同じエネルギー源でも反応が異なる。糖はルーメンpHを下げにくく、繊維分解菌のエネルギー源として機能するため、既存粗飼料の消化性を引き上げる。「穀物を増やす」のではなく、「繊維を使い切る」設計に転換できる点が重要である。実務上の目安は飼料乾物中の糖5%前後が最適域とされ、過不足なく利用することが鍵となる。
成功の前提:飼養管理とのセット運用
糖蜜は万能ではなく、管理と一体で効果が出る。
収容密度:110%以下を目安
飼槽スペース:1頭あたり約45cm以上
給与回数・押し込み:頻回で均一摂取を維持
初産牛の分離飼養:競争軽減
また、混合工程では液体を初期段階で均一に分散させ、偏在や付着を防ぐことが重要である。
結論
糖蜜は、高粗飼料型飼養における「見えないロス(選び食い・消化ロス)」を埋めるツールである。適正水準(糖5%前後)と基本管理を組み合わせることで、乳量・乳成分・採食安定の三点を同時に改善できる可能性が高い。
出典
https://hayandforage.com/article-5608-The-sweet-spot-for-molasses-in-high-forage-diets.html
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