気候変動下で高まるマイコトキシンリスク

主要穀物産地でマイコトキシン汚染が常態化。日本の飼料設計も「事後対応」から予測と予防を前提とした管理への転換が求められる。

飼料

藤井誠司

2/20/20261 min read

a bottle of water sitting on top of a pile of corn
a bottle of water sitting on top of a pile of corn

1.マイコトキシン問題は「例外」から「常態」へ

主要穀物産地でマイコトキシンの検出頻度と濃度が同時に上昇している。背景には気候変動による生育環境の不安定化があり、従来の「特定年・特定地域の問題」という位置づけは通用しなくなりつつある。今後は常に一定のリスクが存在する前提での飼料設計と原料評価が求められる。

2.気候変動がもたらす見えにくい品質劣化

北米では生育期間の延長や集中豪雨の増加が報告されており、これが病害圧力や穀物品質のばらつきを拡大させている。日本は輸入穀物依存度が高いため、産地での微妙な品質変動が、時間差で国内飼料に持ち込まれる構造にある。外観や一般成分では把握しきれないリスクが増えている点は見逃せない。

3.DON等の増加が示す配合設計上の課題

DON(デオキシバレノール)やT-2/HT-2(トキシン)といった毒素の増加は、飼料摂取量の低下、腸管機能の悪化、生産性低下を通じて現場成績に影響する。日本の配合飼料では安全率を見込んだ設計が一般的だが、複数毒素の同時汚染が進むと、その安全余地が実質的に縮小する可能性がある。

4.原料評価と現場感覚のギャップ

分析値は問題なしでも、現場では「食いが落ちる」「下痢が増える」といった事象が起きるケースがある。これは低濃度でも複合的に作用するマイコトキシンの影響を示唆する。今後は、ロット別分析だけでなく、使用後の反応を踏まえたフィードバック型の原料評価が重要になる。

5.データと予測を前提にした飼料管理へ

近年はAIを活用したマイコトキシン予測モデルが進展しており、気象データや過去傾向を踏まえた事前リスク評価が現実的になりつつある。日本の飼料業界でも、原料調達段階でのリスク想定、保管・在庫回転の最適化、必要に応じた吸着材・設計調整といった事後対応から予防型管理への転換が求められる。

出典
Dairy Global
“Key regions see an increase in mycotoxins”
https://www.dairyglobal.net/health-and-nutrition/health/key-regions-see-an-increase-in-mycotoxins/

グロース・ウイズ合同会社

国内外の農業を営む方々、地域活性化に取り組んでいる方々を支援します。

info@growthwith.onmicrosoft.com

080-2270-3723

© グロース・ウイズ 合同会社