米国赤身肉輸出、飼料穀物に30億ドル超の波及価値
米国の牛肉・豚肉輸出は、2025年にトウモロコシ、DDGS、大豆の需要を押し上げ、飼料穀物市場に大きな経済価値をもたらした。
畜産
藤井誠司
5/17/20261 min read
赤身肉輸出が飼料穀物市場を支える構造
輸出は「肉」だけでなく「飼料需要」も動かす
米国食肉輸出連合会(USMEF)が公表したJuday Groupの調査によると、2025年の米国産牛肉・豚肉輸出は、トウモロコシや大豆など飼料穀物の需要形成に大きく貢献している。輸出される赤身肉は、単に畜産物として海外市場に販売されるだけではなく、その生産過程で大量の飼料が使われるため、穀物生産者や副産物市場にも経済的な波及効果を生んでいる。
特に注目されるのは、牛肉・豚肉輸出が米国産トウモロコシ約5億840万ブッシェルの使用に相当し、その市場価値が21億8,000万ドルに達した点である。2025年の平均価格である1ブッシェル4.29ドルを前提にした試算で、輸出がトウモロコシ価格に与えた影響は13.5%、金額では1ブッシェル当たり0.58ドルとされている。
DDGS・大豆にも波及
エタノール副産物であるDDGSについても、牛肉・豚肉輸出は268万トンの使用に相当し、3億7,470万ドルの市場価値を生み出した。DDGSは牛・豚の飼料原料として利用されるため、畜産物輸出の拡大は副産物の販路安定にもつながる。
大豆については、主に豚肉輸出を通じた効果が大きい。豚肉輸出は米国産大豆9,880万ブッシェルの使用に相当し、2025年平均価格10.17ドルを基にすると10億ドルの市場価値を生み出した。大豆価格への経済的影響は10.3%、1ブッシェル当たり1.05ドルと推定されている。
チェックオフ資金と市場開発の意味
米国では、トウモロコシや大豆の生産者がチェックオフ制度※を通じて、食肉輸出促進にも資金を投じている。これは、肉の輸出拡大が最終的に飼料穀物の需要増加として戻ってくるという考え方に基づいている。つまり、畜産物輸出は食肉業界だけの利益ではなく、穀物、飼料、副産物、物流を含む農業全体の需要創出策として位置づけられている。
※チェックオフ制度:チェックオフ制度とは、農畜産物の生産者や業界関係者が、販売量や出荷額に応じて一定額を拠出し、その資金を使って消費拡大、輸出促進、研究開発、広報、需要創出などを行う仕組みです。
日本への示唆
日本の飼料・畜産業界にとって、この事例は「畜産物の輸出」と「飼料原料市場」を一体で考える重要性を示している。日本では飼料穀物の多くを輸入に依存しているため、米国のように輸出拡大が国内穀物生産者へ直接還元される構造とは異なる。しかし、畜産物・加工品・副産物の販路を広げることは、飼料原料の安定利用や食品副産物の飼料化にもつながり得る。
今後、日本でもエコフィード、国産副産物、地域資源を活用した畜産物の価値訴求が進めば、「飼料から畜産物、さらに輸出・販売先まで」を結び付けた市場設計が重要になる。米国の調査は、畜産物輸出を単なる販売戦略ではなく、飼料穀物全体の需要を支える仕組みとして捉える視点を与えている。
出典:https://www.feedstuffs.com/market-news/red-meat-exports-add-significant-value-to-corn-and-soybeans
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