カナダ、食品ロス測定の国家基準導入へ サプライチェーン全体で「共通言語」構築
カナダで食品ロス・廃棄を統一的に測定する国家基準「CSA K100」が公表された。農場から小売まで共通定義を整備し、年間580億加ドル規模とされる食品ロス削減や温室効果ガス対策への活用が期待される。
環境
藤井誠司
5/18/20261 min read
食品ロス管理に「共通言語」
カナダの新国家基準が示す農業・食品業界への影響
カナダで、食品ロス・廃棄(Food Loss and Waste)を統一的に把握するための国家基準「CSA K100」が公表された。策定したのはカナダの標準化団体であるCSA Groupであり、農場、加工、流通、小売、外食までを含むサプライチェーン全体で、食品ロスを同じ定義・同じ単位で測定することを目的としている。
従来は、生産者・加工業者・小売業者ごとに測定方法や単位が異なり、比較や改善効果の検証が困難だった。今回の基準は、こうした「測定のばらつき」を解消し、定量的かつ比較可能なデータ整備を進める点に大きな特徴がある。
年間580億加ドルの損失
CSA Groupによれば、カナダの食品ロスによる経済損失は年間約580億カナダドルに達する。これは単なる廃棄コストではなく、農業投入資材、物流、加工、エネルギー、水資源などの無駄も含む広範な損失である。
さらに、食品廃棄は温室効果ガス排出とも密接に関係する。廃棄された食品の焼却・埋立だけでなく、生産段階で使用された肥料、燃料、飼料、水なども実質的に無駄になるためである。そのため、食品ロス削減は環境政策やESG(「環境(Environment)」「社会(Social)」「ガバナンス(Governance)」)対応とも直結するテーマになっている。
「定義・測定・削減」の3段階
CSA K100は主に以下の3段階で構成される。
定義(Define)
食品ロスの範囲や起点を明確化測定(Measure)
何を、どこで、どの単位で測定するかを統一削減(Reduce)
寄付、再分配、飼料化など代替利用を推奨
例えば一次生産では、収穫されなかった成熟作物や出荷されなかった家畜などが食品ロスとして扱われる。一方、人間向け食品として生産されていない作物などは対象外とされる。
また、過剰生産、注文キャンセル、インフラ不足、不適切な取り扱いなど、ロス発生要因も整理されている。
今後の注目点
食品ロス問題は、単なる廃棄削減ではなく、資源効率・環境対策・持続可能性を統合するテーマへ変化している。今後は「どれだけ再利用したか」だけでなく、「どのような基準で測定したか」が企業評価の重要項目になる可能性がある。
日本の農業・食品業界にとっても、国際的な測定基準やESG情報開示への対応が、輸出競争力や企業価値に影響する時代に入りつつある。
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