英国で食料安全保障への危機感高まる 輸入食品の半数超が異常気象による供給不足国から
英国の大手スーパー5社が食料自給率向上を政府に要求。野菜自給率54%、果物17%と低く、異常気象や地政学リスクによる輸入途絶への警戒が強まっている。
環境
藤井誠意
8/13/20261 min read
生鮮食品の品不足が相次ぐ英国
英国では近年、スーパーでトマトやキュウリ、ピーマン、レタスなどの生鮮野菜が一時的に品薄となるケースが繰り返されている。背景にあるのが、スペインやモロッコなど主要な農産物供給国で発生している干ばつ、山火事、高温などの異常気象だ。英国国内でも極端に雨の多い冬や乾燥した春など天候の変動が拡大し、農業生産だけでなく物流や食品供給網にも影響が広がっている。
こうした状況を受け、TescoやSainsbury’s、Aldi UKなど大手スーパー5社の経営トップが、英国政府に国内食料生産を強化する行動計画を求めている。
野菜自給率54%、果物はわずか17%
英国で消費される食料の国内生産割合は約60%で、約40%を輸入に依存している。この中にはバナナやマンゴーなど英国での生産が難しい農産物も含まれるが、英国で栽培可能な作物についても約25%が海外から供給されている。特に自給率が低いのが青果物だ。野菜の国内自給率は54%、果物はわずか17%にとどまる。畜産物では、豚肉が69%、鶏肉が84%、鶏卵が90%を国内生産で賄っている。
輸入先の気候リスクが食料安全保障を直撃
スーパー各社が特に問題視しているのは、英国が輸入する食料の半分以上が、異常気象による供給不足に直面している国々から調達されている点だ。
気候変動による生産不安定化に加え、地政学的緊張も新たなリスクとなっている。中東情勢などを背景に肥料価格が上昇すれば、農産物の生産コストを押し上げ、最終的には食品価格や供給量にも影響する可能性がある。
「Good Food Act」で国内生産拡大を
大手スーパー各社は政府に対し、食料安全保障を政策の中心に据え、国内生産量を引き上げる法的目標を盛り込んだ「Good Food Act(良質な食料法)」の制定を提案している。
さらに、貿易、環境、都市計画、教育などの政策判断でも食料安全保障への影響を考慮し、地方自治体には異常気象や災害発生時でも供給を維持するための緊急対応計画を求めている。
気候変動と地政学リスクが重なる中、英国では「安価な輸入品を確保する」政策から、「国内生産能力そのものを維持・強化する」食料政策への転換を求める声が強まっている。
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