飼料効率が酪農収益を左右 デンプン消化とルーメン発酵の改善で乳生産を最大化
飼料価格や乳価が不安定ななか、酪農経営では飼料効率の改善が重要となる。デンプン消化とVFA産生を高め、同じ飼料からより多くの乳を得る取り組みが注目されている。
飼料
藤井誠司
8/10/20261 min read
はじめに
酪農経営では、生乳の販売価格や出荷量を生産者自身が自由に決めることは難しい。一方、農場内で使用する飼料の量や給与方法、栄養素の利用効率には改善の余地がある。飼料費が生産コストの大きな割合を占めるなか、「給与した飼料をどれだけ乳生産につなげられるか」が収益性を左右する重要な指標となっている。
飼料効率を決める要因
飼料効率とは、牛が摂取した飼料をどの程度効率的に乳へ変換できたかを示す考え方である。単に飼料摂取量を減らすことではなく、同じ給与量からより多くの乳を生産することが目標となる。
効率には、乾物摂取量、栄養素の消化率、ルーメン発酵、エネルギー代謝、免疫状態などが複合的に関係する。摂取したエネルギーの一部は生命維持や体温調節、暑熱ストレスへの対応に使われるため、乳生産へ振り向けられる割合を高める管理が求められる。
VFAのバランスが乳生産を支える
ルーメン内の微生物は飼料を分解し、揮発性脂肪酸(VFA)を生成する。VFAは乳牛にとって主要なエネルギー源であり、その構成によって乳量や乳成分にも影響が及ぶ。
酢酸は乳脂肪の合成、プロピオン酸はグルコースや乳糖の生成、酪酸はルーメン上皮の健康維持や代謝を支える。これらの生成量とバランスを整えることが、摂取した栄養素を有効利用するうえで重要となる。
アミラーゼによるデンプン利用の改善
近年、乳牛用飼料へのアミラーゼ酵素の利用が注目されている。アミラーゼはデンプンの分解を促し、トウモロコシなどに含まれるエネルギーの利用率向上を目的とする。
研究では、アミラーゼの添加によって飼料の発酵、栄養素消化率、VFA産生が改善し、ルーメンpHに大きな悪影響を与えずに乳量や飼料効率が高まった例が報告されている。
サイレージ用乳酸菌が貯蔵中の発酵品質や保存性を改善するのに対し、アミラーゼは牛が飼料を摂取した後、消化管内での栄養利用を支援する点に特徴がある。
既存飼料の価値を引き出す
飼料効率の改善は、高価な原料への全面的な切り替えだけを意味しない。現在使用しているトウモロコシやサイレージの消化性を高め、飼料ロスを抑えながら乳生産への変換率を向上させることも有効な手段である。
乳価や飼料価格の変動が続く環境では、給与量だけでなく、消化率、ルーメン発酵、乳量を総合的に確認し、飼料1kg当たりの生産性を高める視点が一層重要になる。
出典:https://www.feedstuffs.com/nutrition-and-health/feed-efficiency-make-every-pound-of-feed-count
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