EU農業、猛暑・干ばつで140億~170億ユーロの被害 粗飼料不足も深刻化

2026年夏の猛暑と干ばつで、EU農業の被害額は140億~170億ユーロに達する見通し。テンサイやジャガイモの収量予測が下方修正され、牧草とサイレージ用トウモロコシも不作に。冬季の飼料備蓄が減少し、一部農家は家畜の売却を迫られている。

環境

藤井誠司

10/15/20261 min read

A dirt road surrounded by grass and weeds
A dirt road surrounded by grass and weeds

はじめに

欧州連合(EU)の農業が、2026年夏の猛暑と干ばつで大きな打撃を受けている。欧州委員会共同研究センター(JRC)は、最新のMARS作況報告で収穫予測をさらに下方修正した。ハンセン農業担当委員は、農業部門の被害額を140億~170億ユーロと推計し、今後さらに拡大するとの見方を示している。

夏の高温と降雨不足で作況悪化

生育期の出足は好調だったが、夏には35℃を超える高温と著しい降雨不足が重なり、状況が急速に悪化した。8月の雨も、テンサイ、ジャガイモ、トウモロコシなどの夏作物にとっては、おおむね手遅れだった。

被害の大きい地域では、作物の損傷が激しく、収穫しても採算が合わないケースもある。ハンセン委員は、生産量の減少に加え、農家が受ける心理的な負担にも懸念を示している。

テンサイとジャガイモが減収へ

EUのテンサイの予想単収は、8月の予測からさらに7%引き下げられ、平均67.4トン/haとなった。前年比では17%減で、フランスは28%減、ドイツは17%減、オランダは8%減が見込まれる。

ジャガイモの予想単収はEU平均で34.2トン/haと、前年比12%減。国別ではオーストリアが30%減、ドイツが20%減、フランスとベルギーが各15%減となる見通しだ。オランダも40.8トン/haと、前年比11%減に下方修正された。これらの予測には、加工用や種イモ用も含まれる。

牧草の生育停滞、冬の飼料確保に不安

畜産部門では、牧草とサイレージ用トウモロコシの不作が問題となっている。長引く高温と降雨不足で土壌が乾燥し、西欧・中欧の広い範囲で牧草の生育が急速に鈍化。一部地域では、生育が止まった。

サイレージ用トウモロコシの収穫見通しも大幅に悪化した。被害の深刻な地域では、飼料不足と冬季用備蓄の減少を受け、夏の段階で家畜の売却を余儀なくされた農家もあった。粗飼料の量と品質の低下が、畜産経営を圧迫している。

まとめ

今回の猛暑と干ばつは、農作物の減収だけでなく、畜産農家の飼料確保や家畜の維持にも影響を及ぼしている。冬季用の粗飼料備蓄が減るなか、今後は収穫量に加え、飼料品質と供給状況を注視する必要がある。

出典:https://www.foodagribusiness.world/agribusiness/billions-in-damage-to-eu-ag-due-to-heat-higher-number-expected

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