中国関税、EU乳製品に衝撃
中国のEU乳製品への高関税は、通商政策が食品サプライチェーンを揺らす象徴。EV摩擦の波及も想定し、平時から仕向地・調達の分散、代替設計、在庫と契約(価格スライド)で損益の振れを抑えることが今後重要だ。
畜産
藤井誠司
2/2/20261 min read
中国がEU産乳製品に高い暫定関税を課した件は、乳製品市場の一時的な価格変動というより、通商政策が食品のサプライチェーンに直接介入する局面が常態化しつつあることを示している。対象がチーズなどの嗜好品だけでなく、幅広い乳製品に及ぶ点は、外食・加工・小売の原材料調達や商品設計にまで影響が波及する可能性を意味する。
今回の構図は「補助金・産業保護」を掲げる中国側と、根拠の妥当性を疑うEU側が正面からぶつかる形で、単純な需給調整では解けない。さらに、EVなど別分野の摩擦と連動していることから、別の業界で起きた対立が、食に飛び火するリスクが現実になったと捉えるべきだ。
現場への示唆は3つある。第一に、特定国依存を前提にした販売・調達設計は脆い。平時から仕向地と販路を複線化し、需要減でも出口が残る構造を作る必要がある。第二に、代替は緊急時に探しても間に合わない。用途別に品質条件を整理し、代替原料・代替産地・切替判断基準をあらかじめ「表」にしておくことが効く。第三に、関税・為替・運賃などの外部要因を契約に織り込み、価格スライドや納期・在庫の扱いを明文化して“揉めない取引”にすることが、結果的に現場の負担を減らす。
要するに、地政学リスクは避けられない外乱ではなく、設計によって損益のブレを小さくできる経営変数になっている。調達・販路・契約をセットで見直す企業ほど、同じ環境変化でもダメージを抑え、むしろ機会として取り込めるだろう。
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