「ブラジル主導でバイオ燃料拡大、農産物市場は構造転換へ—2035年の世界需給を読む」
世界のエタノール生産は2035年に1630億Lへ拡大、ブラジルが牽引。バイオ燃料は成長する一方、油糧種子は減速。中国の輸入構造変化やEUの電動化が市場再編を加速。
飼料
藤井誠司
5/4/20261 min read
1. 概要:バイオ燃料が主導する農業市場の変化
米ミズーリ大学のFAPRIによると、今後10年の農業市場は緩やかな成長ながらも構造転換が進むという見通しである。特に注目すべきは、バイオ燃料が穀物需要の伸びを上回る成長領域になる点である。世界のエタノール生産は、現在の約1,410億Lから2035年には約1,630億Lへと拡大し、年平均1.4%で増加する見込みである。
2. ブラジルの台頭:トウモロコシ×政策の相乗効果
最大の成長ドライバーはブラジルであり、年率2.9%と高い伸びが予測されている。背景には、同国の脱炭素政策「RenovaBio」による需要創出と投資誘導がある。特にトウモロコシ由来エタノールは年率3.5%で拡大し、+50億L規模の増加が見込まれる。
一方、米国は依然として主要生産国であるものの、成長率は0.3%と低く、市場成熟と規制制約が影響している。
3. バイオディーゼル:地域ごとの戦略差が顕在化
バイオディーゼルは年率2.5%で拡大するが、その構造は地域ごとに大きく異なる。
インドネシア:年率3.5%成長、国内消費主体(義務混合強化)
マレーシア:生産倍増も輸出志向が強い
米国・ブラジル:安定成長
つまり、「内需政策型」と「輸出型」の二極化が進む市場である。
4. EUの構造変化:電動化が燃料需要を圧迫
EUでは電気自動車の普及により、ディーゼル需要そのものが縮小。結果として、バイオディーゼルの国内使用量は今後10年で約7.5%減少と見込まれる。
また、EUは輸入依存を減らし、域内生産で義務を満たす方向へ転換しており、国際貿易量の縮小圧力として作用する。
5. 油糧種子市場:成長減速とブラジル一強化
従来の穀物・油糧種子市場は、成長が鈍化している。世界の油糧種子生産は年率1.5%と、前10年の約半分に低下。
その中で構造変化が顕著:
ブラジル:世界シェア約42%へ拡大
米国:約27%へ低下
アルゼンチン:約12%
つまり、南米への供給集中が一層進む構図である。
6. 中国の大豆輸入:量は増加、米国依存は低下
中国の大豆輸入は2035年に約1億2,800万トンと、過去比で24%増加する見通し。しかし調達構造は変化し、米国のシェアは29% から 19%へ低下するとみている。
これは地政学・供給多様化の結果であり、量拡大と 供給分散という新たな調達戦略を示している。
7. 総括
今後の農業市場は量的成長よりも用途構造の変化(燃料化・脱炭素化)が支配的となる。特にブラジルを中心とした南米の影響力拡大と、中国・EUの政策変化が、穀物・飼料・エネルギー市場を横断的に再編する時代に入ったといえる。
出典:https://www.feedandgrain.com/business-markets/commodities/news/15824008/global-agricultural-markets-face-mixed-outlook-through-2035
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