強いエルニーニョが世界農業を直撃へ トウモロコシ・大豆・小麦・パーム油に天候リスク
WMOは2026年8~10月に強いエルニーニョがさらに発達すると予測。干ばつと豪雨が主要農産地で交錯し、穀物やパーム油の生産・価格変動リスクが高まる。
環境飼料
藤井誠司
8/12/20261 min read


エルニーニョ、さらに強まる見通し
世界気象機関(WMO)は7月31日、発達中のエルニーニョが2026年8~10月に「強い」水準へ達し、世界の気温と降水パターンを大きく変えるとの見通しを示した。主要監視海域では季節平均の海面水温が平年を大幅に上回ると予測され、世界の広い地域で高温となる可能性が高い。
今回は正のインド洋ダイポールモードも重なる見込みで、地域によって干ばつ、豪雨、洪水、山火事などのリスクが増幅する可能性がある。
トウモロコシ―米国と南米の天候に注目
米国では2026年のトウモロコシ作付面積が9,530万エーカー、前年比3%減となっている。今後、高温や水分不足が登熟期に重なれば単収低下につながる可能性がある。
一方、南米ではエルニーニョ時にアルゼンチン南部などで降雨が増える傾向があり、生育にはプラスとなる場合もある。ただし、過剰降雨や播種・収穫作業の遅れには注意が必要だ。
大豆―米国増産見通しにも気象リスク
米国の大豆作付面積は8,540万エーカー、前年比5%増で、USDAは2026/27年度の生産量を過去最高水準と予測している。
ただし8~9月は莢形成から子実肥大という重要な時期に当たり、高温・乾燥が長引けば増産見通しが下振れする可能性がある。ブラジルやアルゼンチンでは、年末以降の作付け期の降雨分布が次の焦点となる。
小麦―豪州の乾燥が最大の懸念
WMOはオーストラリア南部・東部で平年より少雨となる可能性を示している。同地域は主要な小麦産地であり、冬小麦の生育期から登熟期に水分不足が続けば、単収と品質への影響が懸念される。
北ヨーロッパでも乾燥傾向が予測される一方、南ヨーロッパでは多雨となる可能性があり、小麦市場では地域による生産格差が広がる可能性がある。
パーム油―インドネシア・マレーシアの減産リスク
特に注意が必要なのがパーム油だ。インドネシアとマレーシアではエルニーニョによる少雨・高温が生産量を押し下げることがある。すでにマレーシアのサバ州・サラワク州などでは今後の降雨減少が警戒されている。
パームは干ばつの影響が数か月から1年以上遅れて収量に現れる場合があり、2026年後半だけでなく2027年の供給量にも影響する可能性がある。
世界農産物市場、天候相場へ
今回のエルニーニョは、すべての農作物を一律に減産させるわけではない。多雨が増産につながる地域がある一方、乾燥や高温で減産する地域もある。今後は米国のトウモロコシ・大豆、豪州小麦、南米の作付け、東南アジアのパーム油という主要産地の天候が、世界農産物相場を左右する重要な材料となりそうだ。
出典:https://wmo.int/news/media-centre/strong-el-nino-expected-intensify
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