乳牛の生産性を左右する「水」 1日最大125リットル、暑熱期は給水環境の見直しを
乳牛は1日60~125リットルを飲水し、気温1℃上昇で平均1.3リットル増加。乳量や採食量を支えるため、給水槽の配置・清潔さ・十分な飲水スペースの確保が重要となる。
畜産環境
藤井誠司
8/17/20261 min read
水は乳生産を支える重要な栄養要素
乳牛の生産性と健康を維持するうえで、水の管理は飼料と同じように重要である。HAS Green AcademyのJelle van Lierop氏が5農場で実施した調査によると、乳牛の飲水量は1日60~125リットルに達し、乳量、乾物摂取量、気温、湿度などによって大きく変化する。
水はルーメン内での消化や栄養素の移動、体温調節、そして牛乳の生産に欠かせません。特に高泌乳牛や暑熱環境下では、十分な水を速やかに飲める環境づくりが重要になる。
気温1℃上昇で1.3リットル増加
調査した5農場のうち4農場では、気温と飲水量に明確な関連が確認されている。平均すると、気温が1℃上昇するごとに1頭当たりの飲水量は1.3リットル増加する。既存の研究でも、気温が17℃を超えると必要水量が増加することが報告されており、夏場は給水能力に余裕を持たせる必要がある。
また、乳牛は採食後や搾乳後に多くの水を飲む。このため、給水槽は飼槽付近や搾乳パーラー、搾乳ロボットの出口など、牛が自然に立ち寄れる場所に設置することが望ましい。
給水槽の種類で1回の飲水量に大きな差
給水設備の形状も飲水行動を左右する。調査では、オープンタイプのフロート式給水槽の場合、1回の飲水量は27~37リットルでしたが、個別の急速給水型飲水器では10~12リットルにとどまっている。条件によっては約3倍の差になる。
個別飲水器の場合は10~15頭に最低1基を設置することが推奨されている。オープン型給水槽では、通常は1頭当たり7~10cm、搾乳施設の出口では30~60cm程度の飲水スペースを確保することが目安となる。
飼料内容と水質管理にも注意
飼料中のナトリウム、カリウム、塩素などのミネラル摂取量が増えると、体内の浸透圧を調節するため飲水量も増える。また、乾物率の高い飼料では飲水量が増え、水分の多い飼料では減少する傾向がある。
給水槽は特に暑熱期には毎日清掃し、少なくとも年1回は牛が実際に飲む地点で水質検査を行うことが推奨されている。乳量や採食量だけを見るのではなく、「牛が必要な時に、十分な量のきれいな水を短時間で飲めるか」を確認することが、生産性を支える基本的な管理項目と言える。
グロース・ウイズ合同会社
国内外の農業を営む方々、地域活性化に取り組んでいる方々を支援します。
info@growthwith.onmicrosoft.com
080-2270-3723
© グロース・ウイズ 合同会社
