ランド・オレイクス、乳タンパク質を高付加価値化 限外ろ過乳で世界需要を開拓
ランド・オレイクスが限外ろ過乳の生産能力を強化。世界的な高タンパク需要を背景に、生乳を高付加価値な乳タンパク質原料へ転換し、組合員酪農家の新たな市場を開拓する。
環境畜産
藤井誠司
7/24/20261 min read
ランド・オレイクス、乳タンパク質を高付加価値化 限外ろ過乳で世界需要を開拓
高タンパク需要を見据え加工能力を強化
米国の大手農業協同組合Land O’Lakes Inc.(ランド・オレイクス)は、カリフォルニア州テュレアの乳製品加工施設に投資し、高付加価値の乳タンパク質製品の生産能力を拡大する。世界的に高まるタンパク質需要に対応するとともに、組合員酪農家が生産する生乳の価値向上につなげる狙いだ。
今回の投資により、同施設では限外ろ過(ウルトラフィルトレーション=UF)乳の生産が可能になる。一般的な乳製品用途に加え、より高付加価値なタンパク質市場への展開を強化し、新たな生乳需要の創出を目指す。
限外ろ過で生乳を高タンパク原料へ
限外ろ過乳とは、牛乳を微細な膜で処理し、水分や乳糖、ミネラルなどの一部を分離しながら、乳タンパク質を濃縮した乳原料である。
水や乳糖など比較的小さな成分を膜に通す一方、タンパク質などを残すことで、通常の牛乳より高タンパクで、用途によっては低乳糖の原料を製造できる。高タンパク飲料をはじめ、プロテイン製品、ヨーグルト、チーズ、栄養食品など幅広い用途がある。
さらに限外ろ過は、MPC(乳タンパク質濃縮物)など高付加価値な乳タンパク質原料を生産する際にも活用される重要な加工技術である。生乳を単に飲用や一般乳製品向けに利用するだけでなく、成分を濃縮して新たな市場へ供給できる点が大きな特徴だ。
2030年に向け乳タンパク質需要が拡大
世界の食品市場では、タンパク質が一部のスポーツ・健康志向層向けの商品から、幅広い消費者が食品を選ぶ際の重要な要素へと変化している。
栄養や健康への関心の高まりに加え、食生活の変化も高タンパク食品の需要を押し上げている。ランド・オレイクスは、乳由来タンパク質の世界需要が2030年頃まで拡大を続け、その伸びが供給拡大を上回る可能性があるとみている。
テュレア工場への投資は、こうした市場変化を捉え、生乳をより収益性の高い用途へ転換するための戦略といえる。
約100戸の組合員酪農家に新たな市場
テュレア地域は米国有数の酪農地帯で、ランド・オレイクスには同地域で約100戸の酪農家とその家族が組合員として参加している。
同社は今回の能力増強によって組合員の生乳に新たな需要を生み出し、高付加価値市場へのアクセスを広げる考えだ。同時に、地域雇用や農業経済を支え、テュレア工場を長期的な乳製品事業の重要拠点として強化する。
世界の乳業では、生乳の生産量を増やすだけでなく、タンパク質などの成分に着目し、加工技術によって付加価値を高める戦略が一段と重要になっている。
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