中露が飼料貿易で新段階へ―ロシア産配合飼料、中国市場参入に道
ロシアと中国が獣医・衛生プロトコルに署名し、ロシア産配合飼料の中国向け輸出が可能に。ロシアの飼料生産拡大と中国の調達多様化が背景にある。
飼料
藤井誠司
7/9/20261 min read
中露が飼料貿易で合意
ロシア産配合飼料に新たな輸出機会
ロシアと中国の首脳は、ロシア産飼料の中国向け輸出を可能にする獣医・衛生プロトコルに署名した。ロシアの動植物検疫当局ロッセルホズナゾールが発表したもので、プーチン大統領の訪中時に合意された。これにより、ロシアの配合飼料メーカーは、中国という大規模市場へ参入する制度的な道筋を得たことになる。
ロシア農業省は、中国を農業分野における重要な貿易相手と位置づけており、今回の合意を両国間の農産物取引拡大の一環とみている。単なる飼料取引にとどまらず、農業・畜産分野での中露関係の深化を示す動きと言える。
ロシア国内の飼料生産は拡大傾向
ロシアの配合飼料産業はすでに一定の生産規模を持っている。ロシア統計当局によると、2025年の国内配合飼料生産量は前年比1.2%増の3,680万トンとなった。
内訳を見ると、家禽用飼料は前年の1,690万トンから1,710万トンへ増加した。豚用飼料も1,610万トンから1,620万トンへ伸び、牛用飼料は310万トンから320万トンへ増えた。いずれも大幅な増加ではないが、畜産・家禽生産の拡大を背景に、着実な成長が続いている。
ロシア飼料製造業者連合は、国内配合飼料生産が2030年までに4,000万トンに達する可能性があると見通している。今回の中国向け輸出解禁は、こうした生産拡大を支える新たな販路として位置づけられる。
これまで輸出意欲は限定的だった
一方で、ロシアの大手飼料メーカーがすぐに中国市場へ積極参入するかは不透明である。ロシアの主要飼料メーカーの多くは、畜産物生産まで手掛ける垂直統合型の農業ホールディングスであり、これまでは飼料そのものよりも、付加価値の高い食肉や畜産物の輸出を重視してきた。
ロシア飼料製造業者連合の関係者は、ロシア産飼料の品質は国際水準にあるため、中国向け輸出に品質面で大きな問題はないとの見方を示している。ただし、実際に輸出が広がるには、政府の方針や企業側の採算判断が重要になる。
つまり、今回の合意は「すぐに大規模輸出が始まる」というよりも、輸出可能な制度的枠組みが整った段階とみるべきである。
中国の狙いは調達先の多様化
中国側にとっても、この合意には明確な意味がある。中国は巨大な畜産・家禽産業を抱えており、飼料原料や関連資材の安定調達は食料安全保障上の重要課題である。近年、中国は従来の主要供給国への依存を下げるため、カザフスタンなど周辺国からの飼料用ミール輸入を増やすなど、調達ルートの多様化を進めてきた。
ロシア産配合飼料の受け入れは、この流れの延長線上にある。地理的に近く、政治的関係も深いロシアは、中国にとって供給源の選択肢を広げる相手となる。
示唆:飼料も地政学の対象に
今回の合意は、飼料が単なる畜産資材ではなく、国家間の農業戦略や供給安全保障と結びつく商品になっていることを示している。ロシアは畜産・家禽生産の拡大を背景に飼料産業を成長させ、中国は供給源を分散することで調達リスクを下げようとしている。
今後の焦点は、制度合意後に実際の輸出量がどこまで伸びるかである。ロシア企業の輸出意欲、価格競争力、物流体制、中国側の検疫・登録手続きがそろえば、中露間の飼料取引は徐々に拡大する可能性がある。
出典:https://www.foodagribusiness.world/feed/russia-and-china-set-terms-for-feed-trade
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