中国・オランダ、代替タンパク質で連携 細胞農業・新技術で食料安全保障を強化

中国とオランダが細胞農業や代替タンパク質分野で連携。中国は食料安全保障と輸入依存低減を狙い、新技術の産業化を加速させる。

環境

藤井誠司

9/16/20261 min read

Fluorescent blue cells with irregular shapes against a dark background
Fluorescent blue cells with irregular shapes against a dark background

はじめに

世界的な人口増加や資源制約、地政学リスクを背景に、従来の畜産だけに依存しない新たなタンパク質生産への関心が高まっている。こうした中、中国とオランダが、細胞農業や代替タンパク質の開発・実用化で協力を進めている。

オランダ、細胞農業を重点分野に

オランダ政府は6月18日、今後10年間の農業・食品分野におけるイノベーション政策の方向性を示した。重点分野の一つが食品イノベーションであり、将来的なタンパク質不足に備えるため、従来の動物性タンパク質を補完する新たな生産技術を育成する方針である。

その代表例が「細胞農業(Cellular Agriculture)」である。動物を飼育して肉や乳を生産するのではなく、細胞培養などの技術を用いて肉や乳由来成分を直接生産する。

オランダでは6月5日、スキップライデンに培養肉生産を目的とした実証農場が正式に開設された。実際の農業現場に近い環境で培養肉生産を検証する施設として、世界でも先駆的な取り組みとなる。

中国、第15次5カ年計画で新タンパク質を重視

中国でも代替タンパク質への関心は高い。2026〜2030年の第15次5カ年計画では、生産性、効率、品質、レジリエンス、バリューチェーン全体の強化が重視されている。

土地や水、環境資源への制約が強まる中、より少ない資源で多くの食料を生産することが政策上の重要課題となっている。穀物の安定供給や畜産・水産業の近代化に加え、合成生物学や新たなタンパク質源などの先端技術も重要分野に位置付けられている。

オランダと中国、知識共有を開始

こうした両国の方向性を背景に、オランダの業界団体「New Protein World」と、中国食品土畜進出口商会(CFNA)が協力を開始した。代替タンパク質の研究成果や技術、事業化に関する知識を共有し、実用化を早める狙いがある。

一方、中国では当面、肉や乳などの動物性食品が食生活の中心であり続けると見られている。このため、大豆粕など輸入飼料・タンパク質原料への依存が直ちに大幅に低下する可能性は低い。

しかし長期的には、輸入や土地、資源集約型生産への依存を減らす技術への投資が進む見通しである。現時点で既存タンパク質より割高でも、複数の生産手段を確保することが食料安全保障上重要と考えられている。

中国の量産化が価格低下を加速か

注目されるのは中国の産業化能力である。オランダ政府は、中国が代替タンパク質を大規模に生産することで世界的な製造コスト低下が進み、従来型タンパク質との価格差が予想以上に早く縮小する可能性を指摘している。

代替タンパク質は、既存の畜産や飼料産業を直ちに置き換えるものではない。しかし、食料安全保障や輸入依存低減を目的とする政策と結び付くことで、細胞農業、発酵由来タンパク質、単細胞タンパク質などの実用化が今後一段と加速する可能性がある。

出典:https://www.foodagribusiness.world/agribusiness/china-and-netherlands-collaborate-on-alternative-proteins

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