乳製品成長国に学ぶ構造問題

アジア市場の動きは日本の酪農経営や輸出戦略に直結する。このうちフィリピン乳業は乳製品や飼料を通じた需給は日本とも連動しており、需要拡大が続く一方、国産は伸び悩み輸入依存が定着している。

畜産

藤井誠司

2/7/20261 min read

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フィリピンの乳製品市場は、今後も緩やかながら確実な成長が見込まれる構造にある。人口増加と中間層の拡大が底流となって需要は安定的に伸びており、特にチーズや加工乳製品を中心とする輸入依存型市場としての性格は2026年以降も続く見込みだ。需要は約350万トン、輸入依存率は高水準である。

フィリピン国内の生乳生産がわずかに増加しているものの(生産量3.7万トン程度)、全体需要に対する貢献度は極めて限定的で、国内だけで需給バランスを大きく変えることは難しい。こうした背景を考えると、外食産業や加工用途を中心とした需要の伸長が、乳製品市場そのものの成長を牽引していると言える。

その成長可能性は、長期的な市場規模予測にも表れている。例えば、世界的な市場調査によると、フィリピン乳製品市場は2026年から2035年の間に年平均成長率(CAGR)約4.3%で拡大し、2035年までに約22億9700万米ドル規模に達するとの予測がある(参考:https://www.briefingwire.com/pr/philippines-dairy-market-share-size-report-2026-2035) 。この予測は、需要増加が単なる短期的なトレンドではなく、中長期的な消費構造の変化と結びついていることを示唆している。

同時に、輸入依存が高い現状は為替や国際価格動向に対して脆弱性を抱える側面もある。原材料価格や海上輸送コストの変動は、フィリピン国内の乳製品価格に直接的な影響を及ぼし得るため、輸入側の調達戦略やリスク管理が重要になる。また、消費者の健康志向の高まりから、強化・機能性乳製品や発酵乳製品のニーズが伸びつつある点は、企業側が付加価値戦略を検討するうえでの重要なポイントだ。

さらに、国内の乳製品消費量は依然として先進国と比べて低く、潜在的な伸びしろが大きい市場でもある。この点は、国外企業・ブランドが長期戦略を描く際の魅力となる。同時に、地元市場に根差した製品開発や流通ネットワークの構築は、今後の競争優位性を左右する要素になり得る。

総じて、フィリピン乳製品市場は輸入に依存するものの、都市化・所得増加・食習慣の変化によって内需が拡大基調にあり、競争環境・消費者志向の変化に応じた柔軟な戦略展開が求められる。

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