牛床敷料は「何を使うか」より「どう管理するか」―アンモニア排出と乳房炎を左右する深床管理
深床式牛床では、分離ふん尿やわら、亜麻、石灰など多様な敷料が使われるが、効果を左右するのは日常管理だ。乾燥、衛生、換気、薄層補充の徹底が、アンモニア排出と乳房炎リスク低減の鍵となる。
畜産
藤井誠司
7/19/20261 min read
敷料の多様化とアンモニア排出
酪農の深床式牛床では、分離ふん尿の固形分を使う「バイオ敷料」のほか、細断わら、亜麻、石灰との混合物、植物由来ペレットなど、選択肢が広がっている。一方、敷料が牛舎内のアンモニア排出や乳房衛生に与える影響も注目されている。
分離ふん尿を敷料に利用すると、固形分側にアンモニウム態窒素が移行するため、排出量が増える可能性がある。オランダの実践農場ネットワークでは、年間1牛床当たり約1kgのアンモニア増加を想定している。排出係数が年間8kgの場合、12.5%の上昇に相当する。ただし、農場ごとの条件差が大きく、正確な影響については研究途上にある。
乾燥状態を保つことが最大のポイント
バイオ敷料では、乾物率33~35%以上の固形分を使用し、分離後12~24時間以内に牛床へ投入することが推奨される。1回に厚く敷くのではなく、7~10cm以内の薄い層として定期的に追加し、表面を乾物率60%程度まで乾燥させることが重要だ。
夏季には敷料温度にも注意が必要で、20℃未満が望ましく、25℃を超えると細菌増殖のリスクが急速に高まる。汚れた部分や湿った部分を毎日除去し、十分な換気によって乾燥を促すことが基本となる。
わら・亜麻・石灰にも管理が必要
わらや亜麻と石灰を組み合わせた敷料も広く使われている。亜麻はわらよりかさばりにくく、吸水性が高いとされ、両者の価格は1トン当たりおおむね150~200ユーロである。
近年は、これらに植物由来ペレットを混合し、吸水性や扱いやすさを高める方法も増えている。ただし、どの資材でも保管中の吸湿やカビを防ぐ必要がある。石灰についても、使用量やpHによってはアンモニア排出や乳頭皮膚への影響が懸念されるため、資材特性を理解した使用が求められる。
乳房炎対策も牛床管理から
敷料中の大腸菌、クレブシエラ属菌に加え、近年はストレプトコッカス・ウベリスなど環境性レンサ球菌への関心が高まっている。特に夏季は、高温による細菌増殖と牛の免疫低下が重なり、乳房炎や体細胞数上昇の危険性が増す。
結局のところ、敷料の種類だけで問題を解決することは難しい。通路を清潔に保ち、汚染部分を毎日除去し、新しい敷料を薄く定期的に補充すること、さらに十分な換気と暑熱対策を行うことが重要である。深床式牛床では、「どの資材を選ぶか」と同等以上に「乾燥した清潔な状態をどう維持するか」が、敷料の効果、乳房衛生、アンモニア排出を左右するといえる。
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