米国農業2035年展望:量は伸び、構造は変わる
USDAは2035年まで米農業が単収向上と畜産拡大で成長すると予測。作付減少、輸出競争激化、所得低下が同時進行する構造変化が鍵。
環境
藤井誠司
2/21/20261 min read
1.作付面積は縮小、しかし「生産量」は維持・拡大へ
USDA(米国農務省)の長期見通しでは、主要8作物の総作付面積は2026/27年の約2億4,760万エーカーから2035年に約2億4,160万エーカーへ減少するとされている。特にトウモロコシは9,500万エーカーから9,100万エーカーへ減少が見込まれ、土地利用の最適化が進む構図だ。一方で、単収の向上が前提となっており、面積減=供給減ではない点が重要である。技術進歩と品種改良が、量を下支えする。
2.大豆は「量」より「用途」が成長を支える
大豆は2026/27年に8,500万エーカーでピークを迎えた後、2035年には8,300万エーカーへ緩やかに減少する見通しだが、生産量は過去最高水準に達するとされる。背景には、搾油向け需要の堅調さがある。輸出だけでなく、国内加工需要が価格競争力を下支えする構造は、日本の飼料・油糧原料調達を考える上でも重要な視点となる。
3.輸出は回復基調だが、競争環境は一段と厳しく
米国農産物輸出額は、2026年の一時的な落ち込み後、年平均1.7%成長で2035年に約2,083億ドルに達すると予測されている。ただし、南米生産国の存在感拡大や為替環境の変化により、穀物・油糧種子分野では競争が激化する。量の拡大よりも、「仕向地」「品目」「付加価値」の再設計が問われる局面だ。
4.畜産は着実に拡大、飼料需要の底流を形成
牛肉・豚肉・ブロイラーはいずれも2035年までに約12%増産とされ、肉牛飼養頭数も回復基調にある。酪農分野では、生乳生産量が約10%増加する見通しで、効率化と規模拡大が前提となる。これは、飼料穀物・副産物需要の安定的な下支えを意味し、日本の配合飼料設計にも中長期的な示唆を与える。
5.農家所得は「横ばいから低下」へ、政策依存度は継続
純農業所得は2026年に1,833億ドル(前年比+2.7%)と一時的に改善するが、その後は低下し、2035年には約930億ドルまで縮小する見通しだ。ARC(Agriculture Risk Coverage=所得補填)・PLC(Price Loss Coverage=価格補填)などの政府支払いは引き続き重要な収入源となり、市場収益と政策の二本立て構造が続く点は、日本の直接支払制度とも重なる。
6.世界経済と人口動態が需要構造を左右
今後10年、世界経済成長は鈍化する一方、低所得国の成長率が高所得国を上回るとされる。人口増加も減速し、量的拡大より用途別・地域別需要の選別が進む。米国農業は「大量供給」から「適地・適品・適量」への転換を迫られている。
出典
USDA projects steady growth in US agriculture through 2035
https://www.feedandgrain.com/business-markets/news/15817319/usda-projects-steady-growth-in-us-agriculture-through-2035
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