EU、GMトウモロコシ・大豆の飼料・食品利用を承認―輸入利用に限定、栽培は対象外
EUはGMトウモロコシ1品種を新規承認し、大豆1品種とトウモロコシ1品種の承認を更新。用途は飼料・食品向け輸入に限られ、栽培は認められない。
飼料
藤井誠司
7/3/20261 min read
EUがGM原料3件を承認・更新
欧州連合(EU)当局は、遺伝子組換え(GM)作物3件について、域内での飼料および食品利用を認めた。対象は、GMトウモロコシ1品種の新規承認に加え、GM大豆1品種と別のGMトウモロコシ1品種の承認更新である。
今回の決定は、欧州委員会の保健・食品安全総局によるもので、安全性評価で問題がないと判断されたことが背景にある。承認期間は10年間とされ、EUの既存制度に基づき、表示やトレーサビリティに関する規則も適用される。
承認は「輸入利用」に限定
重要なのは、今回の承認がEU域内での栽培を認めるものではない点である。対象となるGMトウモロコシや大豆は、あくまで輸入され、動物用飼料や人間向け食品として利用される範囲に限られる。
EUではGM作物に対する規制が厳しく、商業利用には個別の承認が必要となる。一方で、畜産・飼料産業では大豆粕やトウモロコシ由来原料の輸入依存度が高く、飼料原料としての安定調達を考えるうえで、GM原料の承認・更新は実務上の意味を持つ。
EFSAは従来品種と同等の安全性を評価
これに先立ち、欧州食品安全機関(EFSA)は、対象作物について人や動物の健康、環境への影響を評価した。その結果、従来の育種技術で開発された品種と同等に安全であるとの見方が示されている。
GM作物をめぐっては、科学的な安全性評価と、消費者の受け止め方、環境・表示制度のあり方が常に論点となる。EUは今回も、承認対象を限定しつつ、表示・追跡管理を組み合わせることで、利用と管理の両立を図っていると言える。
新ゲノム技術とは扱いを分ける方向
近年、EUでは植物育種に関する新たな規則づくりも進んでいる。欧州議会では、新しいゲノム技術によって作出された一部の植物について、従来育種に近い扱いとする新カテゴリーが採択された。
これは、比較的単純なゲノム編集などによる品種と、従来型のGMOを制度上区別しようとする動きである。一方、GMOについては引き続き、商業化前に公式承認が必要とされまる。つまりEUは、バイオ技術全体を一律に緩和するのではなく、技術の性質やリスク評価に応じて規制を分ける方向へ進んでいる。
示唆:飼料原料の安定供給と規制管理の両立
今回の承認は、EUがGM原料を全面的に受け入れたというより、飼料・食品向け輸入原料として、安全性評価と管理制度のもとで利用を継続する判断を示したものと言える。
特に飼料分野では、トウモロコシや大豆は国際流通量が大きく、GM品種の比率も高い。輸入国・地域がどの品種を承認しているかは、調達可能な原料の幅やサプライチェーンの柔軟性に影響する。10年間の承認期間が設定されたことで、対象原料については一定の予見性が確保された。
一方で、表示やトレーサビリティは引き続き重要であり、GM原料の利用拡大には、消費者や取引先への説明責任が伴う。EUの今回の判断は、科学的評価に基づく承認、輸入利用への限定、栽培禁止、表示・追跡管理という複数の要素を組み合わせた、慎重な制度運用の一例と言える。
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